1 地歌三味線の調子
三味線の調弦法は、調子という。調子は、本調子、二上調子、三下調子と六下調子である。地歌は、演奏を止める事なく、他の調子へ変わる。
調子と音階
調子 二上り 本調子 三下り 六下り
1の糸 C リ E F B♭
1の糸 Ⅾ ロ D G C A
1の糸 E A E B
1の糸は、C、DとEである。2律全音である。
琴の音階は、三味線と同じである。楽器が異なるから、調子名は、変わる。
上の組合せで1の糸が半音下がった曲がある。出口の柳でる。150曲調べたが、他にない。演奏時の音の上下げと混同し紛らわしい。
調子と音階の関係は、川瀬順輔著、陰旋律音階表による。
2 地歌の作曲方法
地歌は、1調子の調弦で複数の調子を演奏できる。西洋の音楽理論によれば、転調である。西洋音楽は、一つの音階が原則である。地歌は、複数の音階を使う事階を、交代して使う。音階が変わる毎に、調子を変えられないから、一つの調子で複数の音階に対応する。調子と音階は、演奏のしやすさは、あるが、無関係である。
黒髪は、4の調子で、CとGの2音階である。この曲は、入門曲として使われるが、短い事の他に、二つの音階であるから、音が解り易い面がある。八重衣は、5の調子でCGDAEの5音階である。
3 地歌の音階の移調
地歌の全音階は、前述の「調子と音階」の9個の音階である。地歌の曲の作り方は、9個の音階が、混合して分離できない。この音階の集合を一つ音階と見なして、地歌の音階とし、陰旋律D調とする。
移調は、全音下げると、陰旋律D調がC調に移ることになる。楽器の調律は、1音階で行うが、自動的に全音階を合わせることになる。
陰旋律D調でない曲が、二曲ある。出口の柳と嵯峨の秋である。半音下がったD♭調である。今後、地歌の陰旋律D調は、D調とD♭調を合わせた18調子で扱う。